第5章 東京卍リベンジャーズ・松野千冬
その日の放課後
彼女の部活が休みだったので俺たちは一緒に帰った
それまでずっと積極的に話して来なかったため
当たり前のようになってしまっていた距離感を縮めるのは
少し勇気が必要だった
いつもと同じように相槌を打ちながら歩いて
彼女の家の前に着いた時
俺は意を決して切り出した
「…っ…あのさ……織月…」
『…ん?』
「…明日の土曜日…空いてる?」
『…えっ……ぁ……午前中は部活なんだけど、午後は何も予定無いよ?』
「……じゃあ…映画観に行かね?……ホラ、この間帰った時に言ってたヤツ…」
俺がそう言うと
レイナは驚いたような顔をした
『…松野君……覚えててくれたの?』
「……まぁ…な………何か…楽しそうに話してたから…」
『………嬉しい……ありがとう♪』
噛みしめるようにそう言った彼女が
パァッと笑顔になって
俺は目が離せなくなった
「……」
『映画館の前にpm1:00に待ち合わせでいい?』
その声で我に返った
「…ぁ…ウン」
『…それじゃ、また明日ね』
手を振って家に入って行くレイナの姿を
俺はただ
つっ立ったまま見送っていた
意識した目で改めて彼女を見た俺は
この時
大変遅ればせながら気が付いた
(……織月って……メチャクチャ可愛くね…?)