第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
レイナを失い
深い喪失感に包まれていたイザナに
ある日
黒龍のOBから連絡が入った
伝えられた知らせは
何とか形を保とうと必死につくろっていたイザナの世界を
とうとう
粉々に壊してしまった
" 佐野真一郎の死 "
灰のようになったイザナは
仲間と離れ
失意の底を独りきりで彷徨い続けた
追いかけていたはずの夢も
大切な人と交わした約束も
雨雲のような黒い靄の裏側に隠れて
それが
どんなものだったのかさえ
いつしか、思い出せなくなっていった
*
佐野真一郎がこの世を去ってから
2年半の月日が過ぎようとしていた
真夜中をとっくに過ぎた公園で、ベンチに座っていたイザナに
ひとりの男が声を掛けてきた
「…" 最強 " と謳われた男が…随分落ちぶれたな………兄貴が死んだ悲しみからか?……黒川イザナ…」
稀咲と名乗ったその男は
死人のような目をしたイザナに「自分の計画を聞いてほしい」と持ちかけた
「…黒川イザナをトップにした…" 最強の犯罪組織 " を創りたい…」
稀咲の計画は
まるで非の打ち所がなかった
" この男の言う通りにしていれば、必ず天下は取れるだろう "
そう思ったけれど
今のイザナには
なんの魅力も感じなかった
「………オマエは何も分かってない……オレに構うな…」
(……レイナが死んだあの日……オレの世界も終わったんだ…………もう…放っておいてくれ…)
全く興味を示さないイザナに
稀咲は「大切なことを言い忘れていた」と言った
「……手始めに……佐野万次郎が率いる " 東京卍會 " を潰す…」
イザナの肩が
ピクリと震えた
「…………オレは……アイツと組む気はねぇ…」
「………フッ………" 組む " 訳じゃない………マイキーを " 利用する " んだ…」