第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
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ソファに並んで座り
ギターを弾いているイザナの横で目を閉じて聞いていたレイナが
不意に、不安そうな声を上げる
『………イ…ザナ?……どこにいるの…』
朦朧としたような様子に何かを感じたイザナは
ギターを置いて彼女を抱きしめた
「…大丈夫だ……ちゃんとここにいる…」
その言葉を聞いたレイナの口元は
安心したように綻んだ
『………イザナ…』
レイナは弱々しく指を伸ばすと、イザナの頬に触れた
瞳の奥を覗くように目を凝らす
『……イザナの目の色………宝石みたいで…大好き…』
虚に開かれた瞳で
必死に何かを伝えようとしているようだった
『………ねぇ………愛してる…』
「………っ……オレ…だって……オマエを愛してる…」
朦朧とした意識の中で
彼女はフワリと微笑んだ
『………嬉しい…………やっと…言ってくれたね…』
そう言ったレイナの瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちた
「……っ……レイナ…」
喉の奥が詰まって
絞り出した声は震えていた
" オマエを愛している " と
" 誰よりも大切だ " と
どうして
もっと言ってやらなかったんだろう
主導権を自分が握っているという事実に、説明のつかない安心感と喜びを覚えて
ずっと虚勢を張っていた
傷付くのが怖くて、素直になれずにいたことを
彼女は
全部分かっていたのかも知れない
イザナは大きく息を吸い込むと
レイナの瞳を見つめて言った
「………愛してるよレイナ……………今までも……これからもずっと……永遠に…オマエひとりだけを愛してる…」
『……っ…』
「……何度生まれ変わっても……オレは、必ずオマエを見つける…………たとえどこに居ても……絶対に探し出して迎えに行く……………オレ達はずっと、ずっと一緒だ………だから…怖がることなんかない…」
『……………ウン………もう…怖くないよ………………ありがとう…イザナ……』
眠るように目を閉じたレイナの呼吸が
少しずつ小さくなって
消えてしまうまで
イザナは
彼女の柔らかな髪を
ずっと撫で続けていた
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