第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
タキシードに着替えを終えたイザナは
部屋を出て、階段を降りていった
店を貸し切りにしたらしく
テーブルの並んだ店内に、他の客の姿はなかった
テラスから人の気配のする外へ出ると
花の咲き乱れる庭園に
大きなテーブルが置かれていた
純白のテーブルクロスの上には、8名分の食器が並べられ
花やキャンドルで上品に飾り付けられている
庭園の奥には
祭壇と、そこへ続くバージンロードが準備され
資料のようなものを手にした竜胆が、スタッフに指示を出していた
その近くに
ムーチョ、鶴蝶、獅音、モッチーの姿を見つけたイザナは
彼らの方へ近付いていった
「……来たか…イザナ…」
「お、スゲー…メチャメチャかっけぇ♪」
「………ッ…ズピ…」
「………オイ………獅音、泣いてんのか…」
「…っ…るせぇなモッチー……こんなん感動するに決まってんだろぉ」
「……でも…まだ、式始まってねぇケド…」
「鶴蝶もうるせーよ……グスッ…」
涙もろい獅音を皆で揶揄っていると
蘭がテラスに姿を見せた
「大将、姫の支度出来たって。…部屋まで迎えに来てって言ってるみたい」
「………分かった…」
「…牧師サンも来てるし…もうそのまま式始めちゃっていいよね?」
「……オゥ…」
「………ぁ……待って大将…」
レイナを迎えに行こうとしたイザナを
蘭は呼び止めた
「?」
「大事なもの忘れてる…」
差し出された小さな箱を開けると
そこには見覚えのあるデザインのペアリングが入っていた
「…………コレ……」
「…あの時の指輪。…大将、全然取りに行ってないみたいだったから……代わりに行って…ずっと預かってたんだ…」
「……」
「マジですごくない?…オレ、グッジョブ過ぎでしょ?」
蘭はそう言うと、白い歯を見せて笑った