第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
レイナは
再びイザナと一緒に暮らし始めた
翌日の夜
事情を伝えてあったムーチョやモッチー、灰谷兄弟、獅音も見舞いに顔を出し
鶴蝶の部屋に集まって、昔のように皆で食事をした
彼女の姿を見た時
ほんの数ヶ月前までとの変わりように驚いて、誰もが一瞬言葉を失った
けれど
レイナのイザナに向ける眼差し
柔らかな笑顔は何も変わっていないことに気付くと
ほんの少しだけ
救われたような気持ちになるのだった
『…鶴蝶君の作ってくれた料理、すごく美味しい』
「……そうか?…レイナが教えてくれたモンばっかりだが…口に合って良かった…」
嬉しそうな鶴蝶の横から
イザナがレイナの手元を覗き込む
「…レイナ…もう少し食べられるか?」
『んー。スープ、半分位おかわりしたいな』
「分かった。いま持って来…」
「いいよ鶴蝶、オレがやる。…レイナ…ちょっと待ってろ」
『ウン♪ありがとう、イザナ』
甲斐甲斐しく彼女の世話を焼くイザナに驚きつつ
微笑み合う2人を見守ることしかできない歯痒さを
誰もが感じていた
食事を終え、少し話をした後は
レイナが疲れないように早めにお開きになった
隣の部屋まで付き添ってきた蘭に
レイナが笑いながら言う
『……クスクス……イザナの部屋…本当に何にもないよね…』
「…ウン。……この部屋に置いてもらえるのは…大将が大好きなものだけなんだ…」
彼女だけに聞こえるように小さな声でそう言うと
蘭は、顔を上げたレイナに優しく微笑んだ
『……』
「……ねぇ大将……今週末、2人でここに来てよ…」
イザナに名刺サイズのカードを手渡す
そこには
フランス語の店名と電話番号が書かれていた
「………何だよコレ…」
「…雰囲気のいい店見つけたんだ……せっかく退院したんだから、外でデートもいいでしょ?」