第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
「……っ…」
レイナが顔を上げると
よく晴れた青い空が2人の上に広がっていて
彼女は眩しそうに目を細めた
『………" 死にたくない "………なんて……勝手だよね………………でも………怖いなぁ……』
宝石みたいな雫が
キラキラ光りながらこぼれていく
イザナはレイナの肩に腕を回すと
その透明な光にそっとキスした
チュッと水音を立てて離れ
潤んだ瞳を覗き込む
「………しょっぺー…」
『…………………フッ…………クスクス………』
レイナは優しく微笑んだまま、唇を近付け
ゆっくりと目を伏せた
触れるだけのキスを繰り返しながら
イザナは
まだ、こんなその場しのぎの安易な言葉しか言えないでいる自分を情けなく思った
(………ゴメンなレイナ…………オレ…もっと強くなるから……)
彼女の身体を抱きしめ
青い空を見上げる
(………オイ……聞いてるか?……………アンタに…オレの持ってるモン全部やる………命だってくれてやるから…………だから……頼む…………コイツを連れて行かないでくれ……)
神様なんていないと分かっていた
それでも
願わずにはいられなかった
未来を選べるなら
全てを捨ててレイナと居たい
そう心から思ったけれど
彼女と引き換えに差し出せるようなモノなど
いくら考えても、何も持っていなくて
こんな自分が
今、たったひとつ出来る事といえば
零れてしまった弱さに
彼女が気付いてしまわないように
ただ
青い空を睨みつけていることだけだった