第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
「………………は…?……………ふ…ざけんな…………そんな訳ねーだろ…」
「……」
「……その医者…連れて来い………テキトーな事言ってんと承知しねぇぞ‼︎」
イザナの大声に続いて
レイナの母親のすすり泣きがロビーに響いた
「………………帰るぞ、鶴蝶…」
「イザナ…」
「……こんなくだらねぇ嘘に付き合ってられるか…」
「……っ……嘘なんか…つく訳ねーだろ…」
「うるせぇ‼︎……………オマエは残るなら勝手にしろ……オレは帰る…」
「…イザナ……ちょっと待…」
「待ってください!」
背を向けたイザナに
レイナの母親が呼びかけた
「……お願いします。…あの子に…会ってやってください…」
そう言ってイザナに深々と頭を下げる
「………もし仮に…今の話が………っ…本当、だとしても………オレ達はもう別れた………そんな相手に会ったって…アイツは喜ばない……嫌な思いをさせるだけだ…」
「そんな事ありません!」
「…っ…」
「……レイナは…自分の病気がもう治らないことを知ってます………残された時間が…あまり無いことも…」
「……」
「…あなたと会わなくなってから……あの子は…ずっと抜け殻のようでした………病気が分かった今も……もう、生きることを諦めてしまったみたいに…ベッドに横たわっているだけで……………残された時間があと僅かしかないのなら……レイナには…そんな風に最期の時をただ待ちながら過ごして欲しくないんです…」
「……」
「…これは…娘に何もしてやれなかった無力な母親の我儘です。………でも……どうか、聞いていただけませんか?」