第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
呼び出されたのは
横浜にある総合病院
外来の診察時間が終わったひと気のないロビーでイザナを待っていたのは
鶴蝶と、レイナの母親だった
「……今日、たまたま施設に帰ってて……そしたら…レイナのお母さんがイザナを訪ねてきたんだ…」
「……」
「……突然、ごめんなさい。…………レイナが…もう、ずっとあなたと会ってないのは分かってます。………でも…どうしても伝えておきたくて…」
「……」
" レイナに病気が見つかった "
彼女の母親は、そう言った
マンションを出て、実家に帰ってから
レイナはほとんど一日中部屋に閉じこもるような生活をしていたらしい
食欲も元気もない彼女の様子を見て
イザナと別れたことが原因だと思ったレイナの両親は
しばらくそっとして、様子を見ることにした
そんな状態のまま月日は流れていき
先月、レイナが熱を出した
最初にかかった医者に風邪だと診断されて
もらった薬を飲んで安静にしていたが、ずっと熱は下がらなかった
そして
念のためにと、大きな病院で受けた精密検査で今回の病気が発覚した
「…その時はもう……治療を受けるには…手遅れの状態で…」
「………ぇ…?」
言われている意味が理解できず
イザナは聞き返した
声の震えを堪えるように口元を押さえて
レイナの母親はその先の言葉を続けた
「…年齢が若いせいで…病気の進行がとても早かったんだそうです………もっと…早く気付いてあげられてたら…っ…」
泣き出してしまったレイナの母親を
鶴蝶はロビーの椅子に座らせた
「……」
俯いている鶴蝶に
イザナは静かな声で聞いた
「……鶴蝶………一体、何の話だ…?」
「……」
「…………鶴蝶…?」
強く握りしめられた鶴蝶の拳が
ギリギリと音を立てた
「………レイナの…余命……………あと3ヶ月も無いって……医者に言われたらしい…」