第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
「うるせぇぇ‼︎」
「……」
「なんでオレの前に現れた?…はじめっから孤独なら耐えられた…」
「……」
「…オマエにわかるか?真一郎………あると思ってた幸せが…ある日突然奪われた地獄が…」
" 何でオレをエマの兄にした?"
" 何で真一郎はオレを弟だと言った?"
" 許せない… "
" 許せない… "
" みんな、大嘘つきだ "
土砂降りの中
イザナは真一郎に背を向けて歩きだした
「…待てよイザナ!……オレはオマエと家族になりたかったんだ…」
「……」
「……オマエに…エマや万次郎の兄貴になって欲しかった…」
「……っ…」
真一郎の口から万次郎の名前を聞いた瞬間
頭が割れるように痛くなった
(………万次郎………何で…アイツは全部持ってるんだよ…………オレには何も無いのに……………そうだ……オレにはもう何も無い…)
ガンガンと痛む頭の片隅で
イザナは
自らの手で傷付け、突き放してしまったレイナのことを想った
彼女は、どんな時も自分を裏切らなかった
何があっても側に居てくれた
世界でたったひとりの大切な人だった
(………助けてくれ……レイナ……)
頭上に閃光が走り
雷鳴が轟く
全身を揺るがせるすさまじい音と共に
心が壊れていくような気がした
「待て、イザナ‼︎」
呼び掛ける声を無視して、単車のエンジンをかけたイザナは
嵐の中へ真っ直ぐに飛び込んでいった