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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ




レイナが向かったのは、山下公園だった

ひと気の無い真夜中の公園
ベンチに腰を下ろした彼女は
対岸の光を映して揺れる水面を眺めながら、ポツリと言葉を溢した


『……イザナのこと…殴っちゃった………ハァ………これで…ホントに嫌われちゃったかな…』

「…レイナ……アイツ、今日はおかしかったんだ……あんなの全部本気じゃ…」

『ううん……本気だった。……イザナは…この先の未来に私を連れて行かない決断をしたんだよ…………普通に別れ話しても私が受け入れないだろうと思って…あんな事…』

「……っ……何でだよ!……レイナが居なきゃ…自分がどうなっちまうかくらい……よく分かってるはずなのに…」

『………私が…悪いの。………彼に甘えてばっかりで…支えてあげることが出来なかった………私が…もっと、強くなれたら良かったんだ…』

「…そ…んな…………オマエは…何にも悪くねぇよ…」


レイナはそう言った鶴蝶の顔を見上げた


『……………鶴蝶君は…いつも優しいね…』

「……」

『……イザナ、すごく寂しがり屋だから…これからも側に居てあげて………って……鶴蝶君なら、私なんかよりも彼のことずっとよく知ってるよね………余計な事言って、ゴメン…』

「……」

『…………っ…それでも………やっぱりお願いしとく…………私にはもう…何も出来ないから…』

「………レイナ……」

『………私……イザナの事、本当に大好きだったんだ………彼と居られる世界が…私の全てだった…』

「……」

『………でも………全部…終わっちゃった…』



膝の上で固く握り締められた彼女の手
その手の甲に、透明な雫がポタポタと落ちていく


肩を震わせて泣いているレイナを前にしても
鶴蝶は彼女を慰める術が分からなかった


気の利いた言葉も浮かばなければ
抱きしめてやる事も出来ない

自分の不甲斐なさに打ちのめされながらも
せめて、寄り添う気持ちだけは伝えたくて
鶴蝶はレイナの前に片膝をついて跪くと、彼女の小さな手に自分の手を重ねた


『……っ…………鶴…蝶……くん…』


涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げ、鶴蝶を見つめたレイナは


『………ありがとう……』


そう言って
とても淋しそうに笑った






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