• テキストサイズ

裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ





キングサイズのベッドが置かれたその部屋は
窓際の分厚いカーテンが引かれたままになっていた

壁にある照明のダイヤルをひねったが、電球が切れているのか明かりがつかなくて
寝室のドアを閉めると、イザナは真っ黒な闇に包まれた



手探りで潜り込んだベッドから、微かにレイナの香りがして

毎晩のようにこの部屋で
たった独りで眠っていた彼女の姿が浮かんだ




「………オマエ………暗がりは苦手だったろ…」



呟いた瞬間
こめかみに何かが伝うのを感じた



胸が苦しくなったイザナは
枕に顔を押し付け、思い切りレイナの香りを吸い込んだ











翌朝
鶴蝶は独りでマンションを訪ねた

ドアを開けたイザナは目元に酷いクマを作っていて
酒の匂いをさせながら、ヨロヨロとリビングへ歩いていくと
倒れ込むようにソファに突っ伏した


「…鶴蝶……水くれ…」

「………いま、持ってくる…」




水を注いだグラスをイザナの前に置いた鶴蝶が
テーブルの上を片付けながら、レイナが自宅へ帰ったことを伝えると
イザナは「そうか」とだけ答えた


「……」


常に強気で、弱味を見せない " 不死身のイザナ " と呼ばれる男の
これほどまでに憔悴した姿を目にした鶴蝶は
言葉を続けることが出来なかった


言ってやりたいことは、たくさんあったはずだった

けれど
もう何を言っても
いま以上にイザナを悔やませることはできないだろう


そう感じた鶴蝶は、全ての言葉を飲み込むことに決めた
















昨夜、この部屋を飛び出したレイナに、鶴蝶はエレベーターの前で追い付いた

何て声をかけたらいいか分からないまま1階へ降り
トボトボと歩き出した小さな背中を見つめながら、黙って後をついていった







/ 655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp