第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
「…イザナ、大丈夫?」
「離れろ」
擦り寄ってきた女に、感情の無い声で言う
「オレに触るな。…二度とそのツラ見せるな」
「…どうしてよ!愛してるって言ってくれたじゃない」
蘭は尚も食い下がろうとする女の髪を掴んでイザナから引き離した
「痛っ‼︎…何すんの⁉︎」
「……触んなって言われたろ……聞こえなかったか?」
「…………何よ…………もう…皆、帰ろ…」
女達は立ち上がり
ゾロゾロと帰って行った
静かになった部屋で
最初に口を開いたのは蘭だった
「…急に " 酒盛りするから、適当な女何人か呼べ " って…大将に言われたから従ったけどさぁ……やっぱり、こういう事だったんだ…」
「……」
「手っ取り早く嫌われようとしたんでしょ………でもさ……オレ、姫の泣き顔は見たくなかったワ…」
「……」
「……今日は帰るね、大将。………酒盛りは…また今度にしよ…」
蘭はそう言うと
竜胆を連れてマンションを出ていった
イザナはテーブルの上にあるボトルの酒をドボドボとグラスに注ぐと
ストレートで一気にあおった
薬のような酷い味がしたが
構わずもう一杯入れ、グラスをあおる
何杯飲んでも
左胸の痛みが消えることはなかった
しばらくすると
仕入れてきた酒を抱えてムーチョがマンションにやってきた
今夜は中止になった事を告げると
何かを察したムーチョは「獅音とモッチーを車で送って、自分も今夜は帰る」と言った
「イザナも一緒に天現寺に戻るか?」
獅音が聞いてきたが
イザナは「いや…今日はこっちに泊まる」と答えた
ひとりになった部屋は、何の物音もしなくなった
時計を見ると
もう、真夜中に近い時間だった
いつの間にか、ボトルは空になっていて
やっと少しだけ酔いを感じることができたイザナは
立ち上がり、フラつきながらベッドルームへ向かった