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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ





空が白み始めた頃
マンションの玄関に鍵を回す音が微かに響いた


出掛ける時のレイナの様子がどうしても気になったイザナは
天現寺のアジトで黒龍の幹部達と徹夜での話し合いを終えた後
単車を飛ばして帰ってきたのだった


靴を脱いで上がり、廊下を通ってドアを開けると
薄暗いリビングのソファの上に身体を丸めるようにして横たわっているレイナの姿を見つけた



静かに近付き、眠っているレイナを見下ろす

数時間前に見送られた時のままの服装をした彼女の頬には
幾筋もの涙の跡が残っていた


「…っ…」


跪き、その跡に手を伸ばしたイザナは
指先が触れる直前
動きを止めた



柔らかく、白いレイナの頬
そこに薄らとやつれたような影が差しているのに気が付いて

『独りでいるとあまりお腹が空かない』と
以前、彼女が言っていたのを思い出す



(……レイナは…ずっとまともな食事をとっていないのかもしれない…)

「……」


いつ帰って来るのか分からない自分を待ちながら
彼女はどんなことを思い、どんな毎日を過ごしているのだろう

少なくとも今夜
レイナが泣きながら眠ったことは明らかだった



(………分かってる………このままじゃいけないんだ……)






イザナはしばらくの間
ただジッとレイナの寝顔を見下ろしていた



そして
苦しげに目を伏せると
立ち上がり、背を向けてリビングを出て行った






靴を履き
玄関から外へ出て鍵をかける




その微かな音に
レイナは目を開けた



『………イザナ…?』


ゆっくりと身体を起こし
小さな声で名前を呼んでみる




けれど


そこには
眠る前と同じ、誰も居ないリビングの風景があるだけだった









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