第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
イザナが横浜のマンションに帰るのは、月に数回程度だった
鍵を使って玄関を開けると
レイナはいつも明るく迎えてくれる
寂しさを隠して取り繕った彼女の笑顔を見る度、罪悪感に襲われたイザナは
その想いから逃れるように彼女の身体を求めた
どんなに身勝手に抱いても
レイナはイザナのことを受け入れた
「……もう…このままどうなったっていいだろ……オレが居れば…」
行為の最中
身体を繋いだまま、イザナはいつもレイナにそう聞いた
『……ウン………私はイザナが居ればいい……他には何も要らないよ…』
彼女の声と言葉が、ヒリついたイザナの心を宥めていく
(………オマエは何があってもオレを裏切らない………そうだよな…レイナ……)
自分が優位に立っていることを確認するために
ワザと冷たく接して彼女を傷付けていた
大切だったはずのレイナに、そんな態度しか取れない自分が許せなくて
彼女の為には、もう別れた方がいいのかも知れないと思いながらも
イザナはレイナを手放すことができずにいた
『……イザナ……寂しいから、今夜だけは側に居てくれない?』
見送りに出てきた玄関先で
レイナは俯きながらそう言った
「…………ここが嫌なら…いつでも出てけよ…」
『……っ……嫌じゃない!………嫌じゃ…ないよ…………ゴメンなさいイザナ………もう我儘言わないから、許して…』
「……」
『……私をここに居させて………お願い…』
瞳を潤ませて必死に謝る彼女の姿が
イザナの歪な心に空いた穴を埋めていく
「………………好きにしろ…」
小さく震える肩を抱きしめてしまいたい衝動を堪えて
イザナはドアを開けると
振り返ることなく、夜の街へ出て行った