第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
真一郎が、初めて施設に会いに来てくれた日から
イザナはよく葉書を書いていた
身の回りで起こったことの報告や
自分の気持ち、悩みごと
聞いて欲しい話がたくさんあって
なるべく小さな字で書いても、葉書の白いスペースはすぐに埋めつくされてしまう
少年院に居る間も、その習慣はずっと続いていたけれど
出所して、レイナと一緒に暮らし始めてから
何故かイザナは真一郎に手紙を出さなくなった
無意識の行動に初めて気が付いたイザナは
改めて、自分にとってのレイナの存在の大きさを感じた
真一郎には
彼女の事も包み隠さず伝えていた
(……あの指輪が出来上がったら、レイナにプロポーズする。…籍を入れられる年になるまでは形だけだけど、そんなのは大した問題じゃない。…………次にバイク屋に来る時には2人一緒だ…………真一郎、驚くだろうな…)
" レイナと結婚して、家族になる "
真一郎と3人で、笑顔で話している場面を思い浮かべたイザナは
ずっと欲しかったものをようやく手に入れられるような気がして、とても幸せな気持ちになった
(……オレ達の夢を叶える為にも…そろそろ動き出さないと…)
そう思ったイザナは
例の話を持ちかけてみる事にした
「真一郎…」
「ん?」
「黒龍の次の代…オレに継がしてくれないかな」
「え?」
驚いたような声を上げた真一郎に
イザナは心からの想いを伝えた
「……兄貴の大事なモン、オレが守りたいから…」
「……」
真一郎は、しばらく黙った後
静かな声で言った
「……ウン……いつかお前にって思ってたんだ……………イザナ、ありがとう………兄弟でつないでいくのが夢だった…」
真一郎の答えを聞いて
イザナは本当に嬉しかった
(……ありがとう真一郎……オレたち2人だけの絆、絶対大切にするよ…)
そんなことを考えていたイザナに
真一郎は更に続ける
「……黒龍はお前…そして……万次郎に継がせたいから…」
その瞬間
イザナの心臓がドクンと音を立てた