第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
次の日から
イザナは蘭に紹介された仕事を始めた
蘭は " 忖度は無い " と言っていたが
「そんな訳ないだろ」とツッコミたくなるほど、真っ当な割には金になる仕事だった
1ヶ月が経ち
目標の金額が貯まったイザナは、スグに仕事を辞めた
そして
手にした金を全部つぎ込み、レイナに送る指輪を買った
蘭はさり気なく彼女の左手の薬指のサイズを調べてくれ、オススメのジュエリーショップを幾つか教えてくれた上に店まで付き添ってくれた
オーダーしてから指輪が仕上がるまでには少し日数がかかるようだった
レイナに似合いそうな指輪を選んで注文し、蘭と別れた後
イザナは真一郎のバイクショップを訪ねた
「真一郎!」
「おう!久しぶりだなイザナ」
客らしい客の居ない店内
咥えタバコで単車の整備をしていた真一郎が振り返る
「ケツ乗ってよ。ちょっと走ろ?」
「オウ、いーね。ちょっとまってろよ」
油まみれの手を拭きながら立ち上がった真一郎は
すぐ側に座っていた、額の左側に火傷のような痕がある少年に「スグ戻るから、少しだけ店番頼む」と言うと、外へ出てきた
愛機のCBR400F
エンジンの音を響かせて、のどかな平日の国道を走っていると
なんだか昔に戻ったような気がした
「イザナのケツに乗る日が来るとはなぁ」
「うまくなったろ?………そういえば…昔、教えてもらったギターも…だいぶ上達したんだ」
「お、ちゃんと練習してたのか」
「…うん……クスクス……" ギターが弾ける男はモテる " って…真一郎に言われたからね…」
そんな他愛のない会話が途切れた時、真一郎がポツリと言った
「……少年院[ネンショー]、いつ出たんだよ」
「……」
イザナは答える代わりに
自分が少年院に入っている間に、単車の世話をしてくれていた礼を言った
「……世話っつっても、エンジンかけに行ったくらいだよ……調子、どうだ?」
「んー。特に気になる所は無いかな」
「音も問題なさそうだな……ま、何かあったらいつでも持って来いよ」
「ウン。ありがと」
相変わらず優しい真一郎の態度に
イザナはホッとしていた