第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
彼女の気持ちが本当の意味で前を向き始めたことを
イザナは心から嬉しく思っていた
はじめは上辺だけでも構わない
穏やかな毎日を繰り返していくうちにそれがあたり前の日常になれば良い、と
そんな風に考えていた
そして
数ヶ月が過ぎたある日
その前日は
保護観察中の決まりで施設に戻っていたイザナに合わせて
レイナも自宅で過ごしていた
たった一晩離れただけなのに
イザナのことが恋しくなってしまったレイナは
学校を1時間目で早退して、マンションへ向かった
鍵を使って中に入ると
玄関に彼の靴があった
けれど
リビングの明かりが消えていて、人の気配は感じられなかった
『…イザナ?』
名前を呼びながら部屋に上がり
姿を探す
微かに開いていた寝室のドアから薄暗い部屋の中を覗くと
キングサイズのベッドにうつ伏せに倒れ込むようにして私服姿のイザナが眠っていた
そっと近づいて、ベッドの端に腰掛ける
スゥスゥと小さな寝息を立てて眠るその寝顔は
彼がまだあどけない少年だった頃をレイナに思い出させた
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よく晴れた日の朝
同じクラスに転校してきた黒川イザナ
薄く日焼けしているような淡褐色の肌
髪の色も瞳の色も他のクラスメイト達とは違っていて
『綺麗な男の子だなぁ…』
黒板の前で自己紹介をする彼の
それが、第一印象だった