第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
蘭が " ちょっとしたツテを使って用意させた " というこの部屋には
着替えや食料から生活用品まで
大抵の必要な物が既に揃えられていた
先にシャワーを浴びたイザナが
真新しいTシャツを着て、タオルで髪を拭きながら出てくると
交代でレイナがバスルームに入る
微かなシャワーの音を聞きながら寝室のドアを開けたイザナは
そこに置かれていたキングサイズのベッドを見て、思わず吹き出してしまった
" オレ監修のベッドルーム、大将絶対気に入ると思うよ♪ "
帰る時にそっと耳打ちしてきた
蘭の笑顔を思い出す
ベッドカバーやシーツ、カーテンまでが全てシックな色で統一された
大人っぽく、落ち着いた空間
ダイヤル式のスイッチをひねると、壁際の間接照明が柔らかく灯った
「………あのバカ……高級ホテルかここは…」
苦笑いしながらイザナは窓際へと歩いていく
ガラスに額を付けると、少し離れたところに観覧車の明かりが見えた
(………やっと……戻ってきた……)
回り道をしたと思っていたけれど
結果的には、あの頃よりも夢に大きく近付いていた
(……オレはここに王国を作る。………誰も歯向かえないくらい、強い王になる。…………見てろよレイナ……オレ達の夢、必ず叶えてやるからな…)