第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
「…あー…ケーキそろそろ切ろうかって相談してたとこ」
「ケーキ?…オレ、もう腹きちぃワ……鶴蝶、まだ食えるか」
「余裕だ」
『じゃあ準備しようか?…一度、空いたお皿下げちゃうね』
レイナが空いている取り皿を重ねてキッチンの方へ行くと
ムーチョと鶴蝶も立ち上がり持ちきれなかった食器を運びはじめた
咄嗟の機転でもう一度尻を蹴られることを免れた男たちは
心の中で蘭に親指を立てた
賑やかな宴は、夜遅くまで続いた
食べきれないと思っていた料理は
モッチーと鶴蝶がほとんど平らげてしまった
皆が帰っていくと
部屋の中は途端に静かになる
食器棚にグラスをしまっているレイナを手伝いながら
イザナが言った
「…片付け、大変だったろ……ありがとな…」
『全然大丈夫。ほとんど皆がやってくれたの』
「…何か…洗い物しながらモッチー達とゲラゲラ笑ってたな」
『モッチー君、気さくですごく面白いんだもん。…蘭君と竜胆君もふざけてずっとおかしな事ばっかり言ってるから、笑い過ぎてお腹痛くなっちゃった』
「…アイツら…今日、初めて会ったオマエがビビっちまうんじゃないかって…結構心配してたらしいぞ」
『……ぇ……何で?…みんなすごく優しいし、そんな訳ないのにね』
不思議そうにしているレイナを見つめながら
イザナは、彼女が相手を見た目で判断する人間ではなかったことを懐かしく思い出した
「……オマエは…変わってないな…」
ポツリと呟いたイザナに
レイナは少し戸惑いながら言う
『…そう?……でも………イザナは…少し、変わったね』