第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
「……レイナ…?」
慌ただしくストレッチャーを乗せ、サイレンの音と共に走り出した救急車を
イザナは必死に追いかけた
けれど
大きい道路に出たところで他の車に阻まれ、足止めをくっているうちに車はどんどん遠ざかって行ってしまう
クラクションが鳴り響く深夜の国道
裸足の足元が切れて血が出ていることを気にも止めずに
イザナは小さくなっていく赤色灯をいつまでも見つめていた
「そこのお屋敷の女の子、手首を切ったんですって?」
「そうなの…ご家族が保護入院を申し出て、今は◯□病院の特別室に居るらしいわよ…」
翌朝
施設の職員達のそんな会話がイザナの耳にも届いた
◯□病院を訪れ、病室を探す
それほど大きな病院ではなかったため特別室はすぐに見つかった
[ 面会謝絶 ]の札が貼られたドアを静かに開けると
広い個室のベッドの上で、レイナが眠っていた
「……」
ベッドの側まで行き、寝顔を見下ろす
柔らかな髪を撫でていると
レイナが微かに目を開けた
『……イザナ…?』
薬が効いているのか
視線はどこか虚で意識もボンヤリとしていた
『……イ…ザナ…………もう……知ってるんでしょ…』
「……」
『………イザナにだけは……知られたくなかった…』
優しく髪を撫で続けているイザナを
悲しそうに見上げる
『……ごめん…なさい………私…………汚れちゃった…』
「……………オマエは……昔も今も…ずっと綺麗だ…」
イザナはそう言うと
横たわったままのレイナの身体を包むように抱きしめた
『……イ…ザナ…?』
「…謝るのは……オマエを巻き込んだオレの方だ…………だから…オレが消してやる。…全部、消してやるから………………もう…自分を責めるな……………これ以上……オマエは傷付かなくていい…」
『……』
「……分かったか?」
小さく頷いたレイナの額にそっと口付け、身体を離す
「………ホラ…目、閉じて……オレがついてるから…安心して眠れよ…」
『……』
繰り返し髪を撫でているうちに
小さな寝息が聞こえてきた
しばらくの間、レイナの寝顔を見つめていたイザナは
彼女の唇に触れるだけのキスを落として
静かに病室を出ていった