第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
次の日
放課後、いつもの橋へイザナが単車で向かうと
約束をしていないはずのレイナが欄干にもたれて立っていた
「…アレ…いつもより早くね?……部活は?」
『……休んだ…』
「……ぇ……じゃあ……ずっと待ってたのかよ…」
驚いたイザナに
レイナは深々と頭を下げた
『………イザナ………昨日は…ごめんなさい…』
「……………別に……オマエが謝ることじゃない…」
『……でも…』
レイナはイザナの切れた唇の端を悲しそうに見上げた
「………フッ……こんなの大したことねーよ……もう気にすんな…」
『……』
「……それより……オマエの方こそ…大丈夫なのかよ…………オレとは会うなって…言われたんじゃねぇの?」
『……っ………関係…ないよ…』
「……………オレにはよく分かんねーけど……オマエの親…オマエのことが大事だから心配して怒ってたんだろ?…だったら…」
『…だったら?』
「……」
『……ウチの親が心配するから…もう会わないの?……親に怒られたから…別れるの?……今日、会いに来てくれたのは…その話をするため?』
「…っ…違う…」
『…………良かった…』
「……」
『……どんなに反対されたって……私はイザナと離れるなんて…絶対無理だよ……出来ない…』
「……そんなの………オレ…だって…」
『…じゃあ………この話は…もうやめよ?』
「……」
山下公園の入り口に単車を停め
ベンチに並んで腰掛ける
夕日に染まる水面を見ながらたあいのない話をしていると、あっという間に日が落ちてしまう
「……そろそろ…帰るか?」
『…んー……なんか…ワゴンのアイスが食べたくなっちゃった」
「……こんな時間じゃ…もうやって無いだろ…」
『まだ居るかも知れないでしょ?…探しに行こうよ〜。お願い』
「……フッ……分かったよ…」
ベンチから立ち上がり、2人でアイス屋のワゴンを探したけれど
やっぱり既に帰ってしまった後だった
『…あーぁ……食べたかったな…』
「また来ればいいだろ?」
『……ウン…』
ションボリと俯いていたレイナが
ゆっくりと顔を上げる
上目遣いでイザナを見つめて、せがむように言った
『………イザナ…もう少し、散歩しよ?』