第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
「……」
小さく身体を震わせたレイナを、イザナは抱き寄せた
胸元に耳を当て、心臓の音を聞いているうちに
レイナの気持ちは穏やかになっていく
『……ありがと…』
あたたかな腕に身を任せ
レイナは微笑んだ
『…イザナって……何かお兄ちゃんみたいな所あるよね…』
「……ぇ…」
『……私…一人っ子だからよく分かんないけど……たまに…お兄ちゃんが居たらこんな風に優しくしてくれるのかなって思うことがあるんだ…』
「……」
彼女の言葉を聞きながら
イザナは、自分を " ニィ " と呼んでいた幼い妹の顔を思い出そうとした
けれど
無邪気な笑顔の上に薄らともやがかかって
何故か上手く思い出せなかった
妹の存在をいつの間にか忘れていた自分が少し怖くなって
レイナを抱きしめる腕に力を入れる
『……?……どうしたのイザナ…』
「………同じ年なのに…お兄ちゃんとか……変なこと言うなよ…」
『…ゴメンゴメン………でも…初めて鶴蝶君と居る所を見た時も……なんか兄弟みたいって…思ったんだ…』
「…アイツは下僕だ…」
不満そうな声に
レイナは『…またそんな事言って…』と笑った
このまま兄弟の話を続けるのが少し苦しくて
話題を変えようとしたイザナは、ふと頭に浮かんだ事を聞いた
「……なぁ……オマエの夢って…何?」
『…?…どうしたの突然…』
「いーから。…教えろよ」
『……んー……夢とか…まだよくわかんない………イザナは?』
「…ぇ……オレは……」
" 最強の国を作る "
"身寄りのない奴らの居場所を作ってやる "
" 王国の名前は天竺だ‼︎ "
鶴蝶と雪の上で夢を誓った夜のことを
イザナは思い出した