第4章 東京卍リベンジャーズ・羽宮一虎
レイナの家まで
何も言わずに歩いた
ドアが閉まっても玄関に立ったままでいる一虎の手を引いて部屋の中へ入ると
レイナは彼の胸に抱きついた
『……アナタが好き…』
けれど
一虎は抱きしめ返してはくれなかった
「……オレ、どうしたらいいか分からない……」
震える声で呟いた一虎の胸で
レイナがポツリと言った
『……私………お兄ちゃんを殺したんだ…』
「……」
『……小さい時…事故にあったの。……うっかり車道に飛び出して……気が付いたら…目の前に車のライトが見えた。…近くに居たお兄ちゃんが、その瞬間私の所に走ってきて…守るように抱きしめてくれた…』
「……」
『……2人とも遠くまで飛ばされて……救急車の音がして………次に目が覚めた時には…お父さんとお母さんが泣いてた…』
「……」
『……私のせいで…お兄ちゃん死んじゃったの。……それなのにね……私の事、誰も悪いって言わなかった…』
「……」
『……誰も…私を責めない。……誰からも裁かれない。……一虎は…自分のしてしまった事の罪を償ったんだよね?……仲間の人も"許す"って言ってくれたんだよね?……でも…私はずっと償えないの……だから誰からも許されない。………それが苦しくて…私はひとりでここに逃げてきた…』
レイナはそう言って
一虎のシャツを握りしめた
『……お兄ちゃんは…嬉しい事も、楽しい事も、もう…何にも感じることはできない。……だから…私も……本当は笑ったりしちゃいけないの。……楽しいなんて思ったらいけないの。……一虎と…同じだよ…』
「…レイナ…」
『……でもさ……本当は…笑いたい………誰かと…一緒にいたい………ひとりは……淋しいよ…』
細い肩が
小さく震える
『……私は…一虎を受け入れる。………だから……一虎も私を受け入れて?……アナタだけは…私を許してよ…』
「……」
『……今夜だけでもいいから…側に居て?………お願い……』