第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
施設の中に居場所を見つけられないでいたイザナと鶴蝶は
スタジアムの近くに使われていない廃ビルを見つけ、その中の1フロアに拾ってきたソファやテーブルなどの家具を置いて
自分達だけの秘密基地のようなアジトを作った
眠れない夜、イザナは部屋を抜け出し
隠してある単車の所まで行って
そのまま辺りを流したり
アジトで休んだりして過ごしていた
ある時
イザナはその話をレイナにした
『鶴蝶君は?一緒に行かないの?』
「アイツはいつもイビキかいて熟睡してる。…夜眠れない事なんてねーんじゃねぇか?」
レイナは、鶴蝶の眠っている姿を想像してクスクスと笑った
『…ひとりで行ってるなら…私も連れてって欲しいな…』
「だって夜中だぞ?…オマエ出掛けらんないだろ」
『大丈夫。窓からこっそり出るから』
「は⁇」
『お願いイザナ、今度行くとき私も連れてって?』
「……っ……レイナ、が…いいなら…オレはいつでも構わねーけど…」
付き合うようになってから
互いの呼び方が下の名前に変わった
イザナの方は照れもあって、まだ少しぎこちなくなってしまっていたけれど
彼女から自分の名前を呼ばれると、その度に何とも言えない幸せな気持ちになれるのだった
レイナにせがまれ
イザナは今夜彼女をアジトに連れて行く約束をした
『時間は?何時くらいに行くの?』
「…んー…タイミング見て抜け出すから…大体の時間しか約束出来ねぇんだ…」
『……そっかぁ…』
「…………レイナ……この間…オレの単車の音、分かるって言ってたよな…」
『ウン。遠くからでも、何となく聞き分けられるようになったよ』
「…じゃあ、その音が聞こえたら出てこい」
『分かった。ありがとイザナ♪』
微かに開けた部屋の窓から
聞き慣れたエンジン音が聞こえてきたのは
am1:00を過ぎた頃だった
レイナは靴を履いて窓から抜け出し
門の外で待っているイザナの元へと走っていく
「…待ったか?」
『ううん、大丈夫』
イザナの肩につかまりながら
単車にまたがり、渡されたメットを被る
「…じゃ、行くぞ」
イザナはエンジンをふかし
レイナを乗せて街灯の光の下を走り出した