第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
(…どうして…あんな言い方をしてしまったんだろう…)
別に
カッコつけようとした訳じゃない
レイナが自分に対して好意があることが分かってもなお
彼女のことをどんなに想っているかを本人に知られてしまうのが、イザナは怖かった
自分の想いの方が、彼女よりもずっと大きいという現実を
認めたくなかったのかも知れない
だから
遊び半分に茶化すような言葉を使って、本当の気持ちを隠すことで
優位な立場に立とうとした
" 試しに付き合ってみねぇ? "
期待していたのとは違うセリフに
見開かれていた瞳は、一瞬翳った
けれど、すぐに元に戻って
レイナはその場で " OK " をした
その日から
2人は付き合いはじめた
帰宅部だったイザナは
レイナの部活動が終わる時間に合わせて
毎日、元町まで迎えに行った
天気の良い日は単車で
雨の日は傘を差して
約束の橋の上で待っていると
小さく手を振りながらレイナが駆けてくる
笑顔で手を振り返したい気持ちを堪え
気怠げな口調で「おつかれ」と言うのが
イザナの毎日の習慣になっていった
後は、その日によって
マスターの喫茶店へ顔を出したり
山下公園を散歩したり
単車に2ケツして、少し遠くまで行くこともあった
レイナが初恋の相手だと、昔ポロっと打ち明けてしまっていた鶴蝶には
彼女と付き合い始めたのを内緒にしておこうと思ったが
ビブレの地下のHMVでバッタリ会ってしまった日
「あの事は言うな」と釘を差してから、観念して3人でゲーセンで遊んだ
それ以来、一緒に行動することも増えて
レイナは鶴蝶とも次第に仲良くなっていった