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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ




長い時間が過ぎ
イザナは中学生になった


真一郎は相変わらず
月に何度か施設に会いに来てくれていた

自らが経営しているバイクショップに連れて来ては
単車の乗り方や、手入れの仕方を教えてくれた


ある日
バイクショップの閉店後
ツーリングがてら施設まで送ってもらっている時

信号横の案内標識を見上げながら
イザナが聞いた


「…ねぇ……真一郎の家も…渋谷にあるんでしょ?」

「そーだ」

「渋谷って…電車だと横浜から遠いの?」

「そんなに遠くもねーよ。電車なら一本で行ける」

「ふーん…」

「…どーした?…やっとエマに会う気になったか?」

「……」

「……家の前までだけでも…今度一緒に行ってみるか?……バイク屋からだって…行こうと思えばスグなんだぞ?」

「…うーん……そのうち。…まだ、いいや」

「……何でだよ……この話すると…オマエ、いつも " そのうち " って言うよな」

「…別に…」

「……」


エマが真一郎の家に引き取られ、一緒に暮らしていると聞いた時
イザナはまたも妹の事を羨ましく思った


(……いつもアイツばっかりいい思いをして…ズルいや………真一郎みたいなお兄ちゃんと住んでいたら……オレの事なんか…きっともう忘れちゃってるんだろうな…)



「…オレは…真一郎と会えるだけでいい…」

「……イザナ…」


その言葉に
嘘は無かった



(……だって……エマは…オレに会いたいって……言ってないんだろ…)


もしエマがそう望んでいたなら
真一郎は間違いなくエマをイザナの元へ連れてくるはずだ

そうしていないってことは
きっとそういうことなんだと
何となく察していた


(……真一郎が側に居てくれれば……薄情者の妹なんて…もういらない…)



" 迎えに行く " と約束したはずのエマのことを
イザナはいつしかそんな風に思うようになっていた








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