第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
露骨に接触を避けるようになったイザナに
レイナが何かを言ってくるようなことはなかった
自分に近付かなくなったせいか
彼女が奴らから嫌がらせを受けている様子は無くて
イザナは心からホッとした
月日は流れ、4月になると
クラス替えで2人は別々のクラスになった
新しいクラスでも
施設から通っているイザナの噂はすぐに伝わった
以前のクラスのようにグループでイジメてくることは無かったが
今度のクラスメイト達は
逆に誰もイザナの側に近寄って来なかった
関わるなとでも親から言われているのか
どこか一線を引かれているような空気の中で
イザナは淡々と孤独な毎日を過ごしていた
そんなある日
施設に男が訪ねてきた
「お前がイザナか!」
男の名前は " 佐野真一郎 "
彼は
自分のことをイザナの兄だと言った
それから
イザナの生活は一変した
" 黒龍 " という暴走族の総長をしているという真一郎は
度々施設を訪れてはイザナを外に連れ出した
バイクの後ろに乗せてツーリングをしたり
ケンカの仕方も、一から教えた
身体能力の高かったイザナは
言われたことをすぐにマスターし
どんどん強くなっていった
不良の遊び方も
服も
髪型も
笑い方も
全部
イザナは真一郎から教わった
ずっとお兄ちゃんが欲しいと思っていたイザナにとって
真一郎と過ごす時間は本当に楽しく、幸せだった
そして、自分に自信が持てるようになると
これまでみたいにやられっぱなしのままではいなくなった
(…嫌がらせをしてくる奴なんか、片っ端からやっつけてしまえばいいんだ…)
真一郎という絶対的な味方と
力を手に入れたイザナは
次第に
怖いモノが無くなっていった