第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
洋風の真っ白な壁と
広い庭のあちこちに咲く花の香りに包まれた彼女の家
よく手入れされた生垣に続く立派な門の前で
イザナはいつものように「じゃあね」と言った
『…ぁ…』
「…?」
『…黒川クン、明日も一緒に帰らない?』
「……ぇ…」
『………ダメ…かな…』
「…ううん!ダメじゃない!」
『…フフ……良かった。…それじゃあ、また明日ね』
「……ぁ……ウン…」
ランドセルの赤が建物の中へ消えていくまで
その場に立ち尽くしていたイザナは
パタンと彼女の家のドアの閉まる音が聞こえた瞬間
全速力で駆け出した
心がウキウキして
じっとしていられない
こんな気持ちになったのは初めてだった
苔むした長い塀の横を走り抜け
施設の玄関を入ろうとした時
背後から声がした