第4章 東京卍リベンジャーズ・羽宮一虎
部屋に戻り
買ってきたおにぎりをひと口かじったレイナは
突然慌てた様子で立ち上がり
ボードにワックスをかけ始めた
『……まだ途中だったの…すっかり忘れてた…』
ゴリゴリという音が
部屋に響く
「……本当に好きなんだね…サーフィン」
『…年に何回も来ないチャンスだから。……ゴメンね…ワックスさえかけちゃえば後は大丈夫なんだ。一虎はゆっくり食べてて…』
「…楽しみだな…明日の朝。……やっぱり…大きい波の日が1番いいの?」
『…うーん…そうだなぁ………それも良いけど……私、早朝に入るのが好きなんだ。…雨の多いこの時期は特にね…』
レイナはそう言うと
何かを思い出すように顔を上げた
『……夜が明けたばっかりの、薄紫色の空の下でね……ボードにまたがって沖を見てると………遠くから雨雲がだんだん近づいてくるの。……目の前の水がパチパチ跳ねて……次の瞬間には…自分もその中に飲み込まれるんだ。……周りの水面が一斉に雨粒を跳ね上げて…炭酸水の上に浮かんでるような気分になるんだよ…』
「…へぇ…気持ち良さそうだね…」
『……通り雨が過ぎると……目の前に虹がかかるの。……頭の中の嫌なこととか、全部雨が洗い流してくれたような気がして……そんな日は一日いい気分。……その後、一発いい波が来ればもっと最高かな。……単純でしょ?…でも、それがいーの♪』
レイナの話を聞いていると
一虎はまるで自分がその場にいるような気持ちになった
そして
そんな景色を
いつか本当に見てみたいと思った
もちろん
彼女の隣で