第4章 東京卍リベンジャーズ・羽宮一虎
歩いて数分の所にあるコンビニで買い物を済ませ
外に出ると
レイナは『少し散歩しよ?』と言った
海岸線まで出て
国道を横切る
車道脇の壁が途切れて階段になっている所から
砂浜の方へ降りていく
『…台風が来る…』
「……そうなの?」
『…ウン……今はまだずっと南の方だけど、こういう時はいい波が立つんだ…』
「…ふーん…」
『……明日、夜明けと同時に海入るけど…見る?』
「……ぇ……それって…」
『……今日は泊まってよ…一虎…』
「……ぁ…」
『……ダメ?…明日は仕事?』
「……仕事あるけど…9時までに渋谷に帰れば。………レイナが迷惑じゃないなら…俺はいいよ?」
一虎がそう答えると
レイナは『じゃ、決まりね』と笑った
さっきまで出ていた月は
厚い雲の下に姿を隠してしまった
生暖かい風と
ゴウゴウと繰り返す強い波音に包まれて
街灯の光が届かない黒い砂の上を
2人は手を繋いで歩いた
自然の中に身を置くと
死を近くに感じる事がある
その感覚が
一虎は好きだった
いま
確かなのは
少し前を歩く彼女の白いTシャツの背中と
繋がれた手の温もり
それだけあれば
他には
もう
何もいらないような気がした
足を止めた一虎が繋いだ手を引き寄せると
レイナは簡単に腕の中に収まってしまう
目を閉じているのか開けているのかも分からない暗闇の中で
2人はそっと
唇を重ねた