第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
服越しに伝わる温もりが
彼女は本当に無事だったのだと九井に実感させた
『…大丈夫?……体…震えてるよ…』
「………あぁ………オマエとこうしてると……あったかい…」
彼女の存在をもっと感じたくて
強く抱きしめ返すと
腕の中でレイナが言った
『……ウン………あったかいね…』
後の対応は自分がやるから先に帰れと三途に言われ
九井はレイナを連れて車へと戻った
マンションへ向かう間、眉間にシワを寄せて黙り込んでいた九井だったが
彼女の部屋に入りドアが閉まった途端
重々しい声で言った
「…やっぱり……こんな事になるんだな…」
『……ぇ…?』
「……レイナ……オマエを失いたくない…………でも……オレから大切な人に手を伸ばすと……いつも…その人とは一緒に居られなくなるんだ…」
『……』
「………だ…からさ……今朝の…」
『…今朝の話は…無かったことにしたいなんて……言わないよね?』
「……」
『……大丈夫……私は…どこにも行かないよ……何があっても…絶対にアナタの側にいる……約束するから…』
「………でも……今日だって…あんな事に…」
『…あれは勘違いで…私自身は怪我ひとつしてないじゃない……これからだって何も起こらないよ……だから安心して…』
「…でも…これまでに何度占っても…」
『占いなんて信じない!』
「…っ…」
『………ねぇ………そんなものと私……アナタは…どっちを信じたいの…?』
その時
九井の頭の中に古い記憶がよみがえった
(……その言葉………アイツもよく言ってたな…)
占いの結果を一切信じず
何にも忠告を聞かなかったイヌピーの顔が浮かんで
九井は思わず吹き出した
「…………フッ……ハハ…」
『……?…』
「…だな。…" 占いなんか、クソくらえ " だ…」
吐き捨てるような口調を真似してみると
勇気が湧いてきた
(……そうだ………オレが信じたいのは……)
九井は
目の前に居るたったひとりの愛しい人を
大切に腕の中に包んだ