第4章 東京卍リベンジャーズ・羽宮一虎
彼女はコンロで湯を沸かし
マグカップに紅茶を入れてベッドの横の小さなテーブルに置いた
『…どうぞ…』
「……ありがとう…」
ベッドに背中を預けるように床の上に座り
テーブルに置かれたマグカップを手に取った一虎は
隣に座ったレイナを見た
「…君は飲まないの…?」
『……カップが一個しか無い…』
彼女は
そう言って苦笑いした
「……じゃあ…一緒に飲む?」
『……いいの…?』
一虎は湯気の立ったマグカップにフゥフゥと息を吹きかけてさまし
彼女の口元へ持っていく
コクリとひと口飲むと
レイナは『おいしい』と微笑んだ
雷は相変わらずゴロゴロと鳴り響いて
その度にレイナは身体をすくめる
「……おいで…」
腕を伸ばし
彼女の肩をそっと抱き寄せた
『………ありがと…』
けれど
バスタオルでは
2人でくるまるには小さくて
一虎は「コレ貸して」と言うと
ベッドの上にあった毛布を手に取り
レイナと自分の肩に掛けた
柔らかな毛布に包まれて
紅茶を分け合っているうちに
冷えてしまった身体がじんわりと温まってくる
そのまま
微睡んでしまったらしい
ボンヤリと目を開けると
もう雨音は止んでいた
レイナは同じ場所に座ったまま
月明かりが差し込む窓を見上げている
一虎は
彼女の肩に乗せてしまっていた頭をそっと起こした
『…ぁ……起きた?』
「……ゴメン…寝ちゃったんだな…オレ…」
『…私も少し前に目が覚めたの…』
「……いま何時?」
時計を見るともう19時近くになっていて
一虎は驚いた
「……そんなに寝てたのか…」
腰を伸ばすと
こわばった身体が軋んだ
「…あ゛〜……背中イテ…」
『………ねぇ、お腹空かない?…ウチ何にも無いからコンビニ行こーよ…』
「…ぇ……でも…」
寂しげな彼女の瞳が
「そろそろ帰るよ」という言葉を飲み込ませた
「……分かった…」
一虎は立ち上がると
すっかり乾いていたシャツを羽織った