第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
『……』
「……頭では…ちゃんと分かってる……時間をかけて…彼女の死を受け入れることだってできた………それなのに……どうしても忘れられない…」
話しながら
九井は考えていた
(……レイナの顔立ちが…どことなくイヌピーに似ているんだとしたら…)
「…そっか…」
『…?…』
「……オマエにも……少し…似てるんだな…」
九井の言葉に
レイナは腕の力を緩めた
『……そう…なんだ……………だから……私だったんだね…』
納得したようにそう言って顔を上げた彼女は
微笑んでいたけれど、どこか傷付いているようにも見えた
ガラス玉のように澄んだ瞳が
九井を映して悲しげに揺れている
『……』
レイナは九井の頬を両手で包むと
そっと口付けた
「……っ…」
咄嗟のことに固まっている九井の唇を啄み
舌を差し込む
ゆっくりと舌先をこすり合わせるように動かし
小さな水音を立てて離れた
「……」
『……ねぇ……私をその人だと思って…代わりに抱いてよ…』
「…は?」
『…似てるなら…いいでしょ…』
「……」
『………お願い…………すごく…寒いの……あっためて…』
そう言うとレイナは
もう一度九井に深く口付けた
「……」
されるがまま
彼女の舌を受け入れる
水音が静かな部屋に響いた
『……何て…呼ばれてたの…』
「……っ…」
『…………ねぇ………教えて…』
「…………………一くん…」
こんなの馬鹿げていると思いながら
九井は答えた
レイナは唇を離し
九井の右の耳に顔を寄せた
舌先で縁をなぞり、耳たぶを甘噛みすると
左側の耳を塞いで吐息混じりに囁いた
『……一くん……キスして…』
彼女の声が
頭の中に響いた瞬間
九井の身体に電流が走った
背中から首筋までがゾクゾク痺れて
何も考えられなくなる
気が付くと
九井は彼女をベッドに押し倒し
夢中で舌を絡めていた
『……んっ……んぅ…っ…………ハァ……ハァ…………ねぇ……名前…呼んでいいよ…』
「………ぁ……かねさ…………赤…音……さん…」
『……っん…………一くん…」
深く溶け合うようなキスを交わしながら
名前を呼び合う
同じ場面を
何度も夢で見たことがあった