第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
『………昨日……電話で呼び出されて…アナタが出て行った時………その時の事思い出しちゃって………勝手に心配して…不安になってたの…』
「……ぇ…」
『…関係ないアナタに…八つ当たりまでして……ゴメンなさい…』
「………ぁ……いや…………オレの方こそ…終わったら戻るって言ってたのに……悪かったな…」
自然と目が合い
苦笑いをする
彼女の顔を見ていると
心の中がじんわりと温かくなるような気がした
『……こんな事…初めて人に話した。……聞いてくれてありがと…』
「…いや…」
『……興味ない女の弟の話なんて、退屈だったでしょ…』
「…っ…そんな事、ねーよ」
『…ぇ…』
「……言わなくて後悔してること…オレにもあるから。……何となく、気持ち分かる…」
『……』
「………それに……オマエが金につられない理由も…そういう事だったのかって……納得いったっつーか……………フッ………こんな事やってっけど………本当はオレも…金が嫌いだからさ…」
『……そう…なの…?』
「…あぁ……オレはずっと……自分の力として金を使って…ここまできた。………ほとんどの事は…金さえあれば何とかなるんだ…」
『……』
「……でも……金じゃどうにもならないことがあるのも知ってる。…………そんで……本当に手に入れたいものってのは…大抵そういうモンなんだよな…」
『……』
「……………フッ…………オレもこんな話初めてしたワ………なんか、スッキリした…」
そう言って笑う九井の横顔を見つめていたレイナが
不意にベッドから立ち上がった
『……………そろそろ、寝よっか…』
「……そうだな…」
ひとつのベッドに両側からもぐり込み
真ん中で背中を合わせる
『…おやすみなさい…』
「……おやすみ…」
そして2人は
互いの体温を感じながら
深い眠りへと落ちていった