第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
彼女は九井の手を引いて部屋へ戻り
ベッドの端へ座らせた
『……………ねぇ…………少しだけ……私の話、してもいい?』
「………あぁ…」
レイナは九井の隣に腰を下ろし
綺麗にネイルが施された足の爪先を見つめながら
ポツリポツリと話を始めた
『…………私……弟が居たの………………両親を早くに亡くして……ひと部屋しかない古いアパートで…ずっと2人で暮らしてた…………貧乏で…布団もひとつしかなくて……寝る時は…お互いに背中を向け合って眠ってたんだ…』
「……」
『……弟は……お金を稼ぐために…悪いチームに入った………未成年だから…捕まっても大した罪にはならないって……色んな事させられてたみたい…』
「……っ…」
『…私が心配していくら注意しても……全然言うことなんて聞かなくて…" 金があれば姉ちゃんに贅沢な暮らしさせてやれるから " って……そんな事ばっかり言ってた。……………ある日……家で眠ってる時に呼び出しの電話がかかってきてね………弟は…夜中にアパートを出て行って…………それっきり…帰って来なかった。………次に会ったのは…1週間後……警察の遺体安置所…』
「……………なぁ………そのチーム…って…」
恐る恐る聞いた九井に
レイナは悲しそうに微笑んで首を振った
『……アナタとは関係ないよ………東京に出て来る前に住んでた…地元の小さいチーム…』
「……そうか…」
『………私……弟がそんな目に遭ったことは…別に恨んだりしてない……あの子は…自分でそういう道に進んで……悪いことも一杯して…色んな人に迷惑かけてきたんだから……………でも……ずっと後悔はしてる…』
「……」
『………" 贅沢なんてしたくない "……" お金なんて要らない "…って……あの子にもっとちゃんと言えば良かった…………貧乏でも……弟と一緒に暮らせたら…私はそれだけで幸せだったの…』
レイナはそう言うと
何かを堪えるように深呼吸をした
『……伝えられなかったことを……相手が居なくなってから後悔しても………もう…どうしようも無いんだけどね…』
「……」