第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
それから
九井は数日に一度、睡眠不足が限界になると彼女の部屋を訪ねるようになった
この夜も、真夜中に押し掛けた九井は
玄関のドアが開くと同時に部屋に入って
靴を脱ぎ、歩きながらジャケットを脱ぎ捨ててベッドに潜り込んだ
少しの遠慮も感じられない一連の流れるような動作を
女はいつものように半分呆れた顔をして、腰に手をあてて見ていた
『……来るのはいいけど事前に連絡くらい入れたら?…私の都合とか考えたりしないワケ?』
「んぁ?」
『だから……突然来て…もし彼氏と寝てたらどーすんの?』
「…彼氏なんか居ねぇだろ……見栄張んなよ」
『は⁇』
「…何……居んの?」
『……っ…居ないけど!…これからいつ出来るかなんて分かんないでしょ…』
「…フハハッ……大丈夫だよ……オマエみたいに見た目ばっかの生意気な女…男なんか一生出来ねーから…」
『……見た目ばっかってアナタだけには言われたくないわ…』
「…るせーな……それより早くコッチ来いよ…」
『……』
ベッドサイドに立ったままでいるレイナを
片目を開けて見上げる
「………何だよ…」
『…こんなに都合良く使われるなら…私の要望も聞いてもらいたいんだけど』
「…要望?……交換条件って事か…」
『そう』
「……構わねぇよ……でも、聞いてやれんのは金でどーにか出来ることだけだぞ…」
『は⁇…何でまたそこでお金が出て来るのよ…』
「…何で…って……オレにはソレしか取り柄がねーから」
九井がそう言うと
彼女は少し怒ったように目を逸らし
ガウンを脱いでベッドに潜り込んだ
「……何?……要望あるんじゃねーの?」
『あるけど?』
「…遠慮しねぇで早く言えよ」
『……じゃあ……もう少し真ん中に来て』
「…?……分かった…」
九井がベッドの真ん中あたりまで身体をずらすと
レイナも背中を向けたまま近付いてくる
『…おやすみなさい』
「……は?…これだけでいいのか?」
『…ウン…』
「……」
『…隙間があいてると寒いのよ……これならスースーしないワ…』
そう言うとレイナは
横向きに膝を抱えて丸くなった