第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
その後、数日間続けてみたが効果は感じられず
それどころか以前よりも寝つきが悪くなっているような気がした
金目当ての女を家に呼び、一晩添い寝をさせてもみたが
案の定、独りの方が余程マシだと後悔する結果になった
睡眠を取ろうと思えば思うほど
余計に目が冴え、眠れなくなる
困った九井は、梵天の幹部連中に " よく眠れる方法 " について相談してみることにした
「眠剤、分けてやろーか?」という三途に「もう飲んでる」と答えると
「それでも眠れねぇのか…マイキーみてぇだな」と言われてしまった
「…眠れる方法なんて考えたこと無かった」という鶴蝶の隣で、望月は「オレは家帰って酒飲んでりゃいつの間にか寝ちまうな」と笑っている
(……聞くんじゃなかったか…)
苦笑いしている九井に、蘭はオススメのスパがあるラグジュアリーホテルをいくつか教えてやった
「紹介制だから予約取ってやるよ」
「…ん……じゃあ今週末…」
「兄貴〜…今週末ならオレらも一緒にステイしようぜ」
「…そうだな…」
「ココ、泳ぐの好きだろ?…プライベートプールあるよ」
「いいね」
「…竜胆が泳いでる間、オレは岩盤ヨガ申し込むから…そっち一緒にやれば?」
「……んー……悩む…」
そして
週末の夜
蘭と竜胆に連れられ
仕事終わりに都内のホテルを訪れた
プールに後ろ髪をひかれていた九井だったが
「安眠が目的ならデトックスでしょ」と言う蘭の言葉を最後には信じた
上層階の夜景の見えるスタジオを貸し切って岩盤ヨガをし
ジェットバスでリラックスした後
全身をくまなくハンドトリートメントされるのは、確かに心地良かった
血行の良くなった身体で予約した部屋へと戻った九井は
早々にキングサイズのベッドに潜り込んだ
落ち着いた間接照明に包まれた部屋で
数十分に一度モゾモゾと寝返りをうつ
眠れそうなポジションを試行錯誤しているうちに
ブラインドの隙間から朝日が差し込んでくるのを感じた
「……」