第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
大寿が金の力を欲していると察した九井は
乾が再びいいように利用され
挙句、年少にまで行く羽目にならないよう
自分も黒龍に加入し、側で守っていくことを決意したのだった
それからの2人は
ずっと一緒に過ごした
佐野真一郎のバイクショップがあった場所をアジトに
寝起きを共にして
九井は乾のことを支え続けた
" 聖夜決戦 " で大寿がマイキーに敗北した後
十一代目黒龍総長に花垣武道を指名した乾は、東卍の傘下に降る道を選び、九井ももちろん同じ道へと進んだ
けれど
天竺というデカいチームが東卍の前に立ちはだかった時
力の差を冷静に分析した九井は
天竺が勝つと判断し
謀反を起こした武藤に拉致されたのをきっかけに
敢えて流れに身を任せた
天竺に入ってからは
駆け引きを使って自身の地位を築き
乾のポストも用意して、チームに迎え入れる準備を整えた
そして迎えた " 関東事変 "
その抗争が
九井と乾の仲を決定的に引き裂いた
「オマエを迎えにきた」と言った乾を
九井は「賢くなれ」と説得し、天竺に引き入れようとした
「東卍は金になんねぇ」
そう言った九井に向けられた乾の瞳は
とても悲しそうだった
「金なんてもう要らねぇだろ?…テメェ…いつまで赤音にこだわってんだよ⁉︎」
乾の口からその言葉を聞いた時
九井の中で
何かが切れた
自分自身でさえもまだ受け止めきれていなかった本心を、乾に見透かされていたと認めたくなくて
九井は必死に違う言い訳を考えた
(…何もこだわってなんかいない……赤音さんはもう死んだんだ……そんな事はちゃんと分かってる………オレがこうしてるのは…ただ金を稼ぐ為……それだけだ…)
" …でも……何のために金を稼いでいるんだ… "
そんな大きな疑問が
頭に浮かんでくる
(……金は力だ……オレに力があれば…イヌピーを助ける事だってできる……今までだって…そうやって利用されてきてやっただろ…)
九井は
自問自答を続けた
(……だとしても……なんでオレはイヌピーの助けになりたいんだろう… )
幼馴染だから?
大好きだった赤音さんの弟だから?
イヌピーには自分が必要なんだと思って欲しいから?自己満足のため?
どれも合っているようで
どこか違うような気がした