第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
佐野真一郎率いる初代メンバーに憧れていた乾が加入した " 八代目黒龍 "
そこは、初代の志などカケラも残っていない極悪組織だった
" 黒龍を初代の頃のようなチームに戻したい " そんな夢を抱き、チームの中で力のある立場に立とうと考えていた乾のことを
金持ち相手の犯罪代行サービスで荒稼ぎをしていた九井は、陰で支えるようになった
八代目総長の黒川イザナは九井の金を生み出す力を噂で聞きつけ
それを利用する為、九井が唯一言う事を聞く乾を側近に置いた
" 自分の金の力を利用して黒龍の中で上にのぼり詰め、夢を叶えて欲しい "
そう思って乾に力を貸してきた九井だったが
乾の夢は、黒川イザナとは相性が悪すぎた
黒川は乾の純真な気持ちにつけ込み、九井の金目当てに利用するだけ利用して
自身が総長を引く時には「九代目も支えてやれ」とまで言い残した
九代目の斑目が総長になった後も黒川の言いつけ通り黒龍に尽くしていた乾は
ある日、とうとう警察に捕まってしまった
乾が年少に入っている間に
九代目黒龍は新しく出来た東京卍會というチームにいともアッサリ潰された
そのタイミングで
九井は動いた
" 乾が次第に本来の夢を忘れ、組織の色に黒く染まっていったのは、自分が手を貸したことで上の立場に立つようになったのが原因のひとつだったのかも知れない "
そう以前から思っていた九井は
自分と乾がもう黒龍に利用されることの無いよう、上層部にいた連中を六本木の灰谷兄弟の力を使って詰めさせた
結果
乾の先輩にあたる連中はバックレ、全員行方不明になった
これで黒龍のことはキレイに忘れてくれるだろうと思っていた九井だったが
年少を出てきた乾は、まだ夢を諦めようとはしなかった
「オレひとりでも黒龍を甦らす」
「……あては?」
「ねぇー」
「…………ハァ…」
年少にまで入れられたのに何も懲りていない乾に少し呆れながらも
放っておく事ができなかった九井は、同じ学校に通っていた " バケモノ " 柴大寿を引き合わせた
タイマンを申し込んで敗北した乾は、大寿の圧倒的な力を認め
黒龍の十代目総長になってくれるよう頭を下げた
すると大寿は、総長を引き受ける代わりに
九井の加入を条件として持ち出した