第14章 東京卍リベンジャーズ・九井一
1時間後
九井は女のマンションに居た
ぼんやりと間接照明が灯る
15畳ほどのワンルーム
マオカラーのジャケットを脱いでソファに座り
ローテーブルの上にあったスノードームを手の中で転がす
ガラス玉の中にくるくると雪が舞って
中央のクリスマスツリーの上に降り積もっていく
(……そういえば……もう12月なんだな……)
この時期になると
いつも以上にアイツの事を思い出してしまう
" 乾 青宗 "
彼が自分にとってどんな存在なのか
もはや
九井自身にも分からなくなってしまっていた
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元々は、同じ年で
仲の良い幼馴染
球技が得意で、勉強が苦手だった乾と
目が悪いため球技よりも水泳などの方が好きで、頭が良かった九井
共通点はあまり無かったのになぜか気が合って
小さい頃からよく一緒に遊んでいた
九井は
乾の5歳上の姉・赤音のことがずっと好きで
小学生のある日、告白をした
「赤音さん!オレ…一生好きだから!大人になったら結婚してください‼︎」
「……ふふ…考えとく」
「一生守る‼︎」
「……約束?」
「うん!約束‼︎」
「…じゃあ大人になるまで待ってるネ」
けれど
その夜の火事が原因で
赤音は重度の火傷を負ってしまった
「……医者と親が話してるの聞いたんだ……赤音…一命はとりとめた…って……でも…赤音の火傷ひどすぎて…ちゃんと治すのに4千万はかかるって…」
「4千万…」
「ウチ…家のローンがまだ残ってたくらいで…払えるワケないっておふくろ泣いてて……もう…どうしたらいいか…」
「……赤音さんと約束したんだ……" 一生守る " って……赤音さんが死んだら…オレ…」
そして
九井は決意した
赤音さんとの約束を
赤音さんを守るために
「4千万…死んでもオレが作ってやる」
その日を境に
乾と九井の関係は変わってしまった
九井は
大金を稼ぐために犯罪行為に手を染めた
4千万という金を手に入れる為に
必死に考えた末の行動だった
けれど
金が集まる前に赤音は亡くなってしまった
最愛の人の死を受け入れられなかった九井は
赤音が死んでしまった後も犯罪から手を引くどころか
むしろ取り憑かれたように金を集め続けた