第4章 東京卍リベンジャーズ・羽宮一虎
『……スコールだ…』
呟いたレイナは
堤防から飛び降りると
手入れの道具やら出たゴミやらをコンビニのビニール袋に全て突っ込み
ボードを一虎の方へ差し出す
『…持ってて』
「…ぁ……ウン…」
自転車に跨り
袋を引っ掛けたハンドルを両手で握る
『…乗って?…後ろ』
「……ぇ…」
『早く早く』
「…わ、分かった」
サーフボードを脇に抱え
一虎がステップに両足をかけると
自転車が走り出した
『…つかまって…』
ボードを持っていない方の手を
彼女の肩に置く
立ちこぎでスピードをつけた自転車は
そのまま国道へと出て行った
「…どこ行くの?」
『…ウチ。……近くだから雨宿りしていきなよ…』
線路脇の道をぐんぐん走っていた自転車は
不意に左へ曲がると
海を背にして幅の広い坂道を登りはじめた
最初のうちはよかったが
スピードが次第に落ちてくる
「……ねぇ…降りようか?」
『……くぅ〜……あと…チョットだから……降…りなくて…大丈夫…』
歯を食いしばってヨロヨロと登っているうちに
雨雲に追いつかれてしまった
『…あー…もぉ!』
力尽きて足を付いた彼女を見て笑っている一虎を
レイナは上目遣いで睨む
『…降りて』
一虎が降りると
彼女は自転車を押しながら小走りに坂道の途中にある2階建てのハイツの駐輪場に駆け込んだ
自転車を止め
外階段を上がる
短パンの後ろポケットから取り出した鍵で玄関のドアを開け
『早くコッチ』と手招きする
一虎が中に入りドアが閉まった瞬間
空が明るく光って
大きな雷鳴が轟いた
『ひゃあっ』
「うわっ」
雷よりも
突然抱きつかれた事に一虎は驚いた
『…ご、ごめん。…雷…苦手でさ…』
バツが悪そうにそう言うと
レイナはビーチサンダルを脱いで部屋の中へ入って行った
『……どうぞ…散らかってるけど。……あ、ボードはその辺に置いといて』
「……」
一虎は玄関の隅にボードを置くと
靴を脱いで部屋に上がった