第13章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②(続編)
細い指先が
腹の傷跡をゆっくりとなぞる
『……もう……痛く…ないの?』
「…あぁ………すっかり治ったから…もう何ともねぇ…」
『………そう…』
止まったはずの涙が
一粒
床の上にポタリと落ちた
今後
彼女はこの傷を見る度
裏切られた気持ちになるんだろうか
逆の立場になって考えた時
俺は初めて
レイナに対して、本当に申し訳ないことをしてしまったのだと後悔した
「……俺の事……嫌いになったか…?」
『……』
「………もし…そうだとしても……当然だと思う…………どんなに謝っても謝りきれねぇ事を…俺はしちまったんだな……本当にゴメン…」
レイナはもう一度頭を下げた俺の手を取り
ベッドの方へ引いていくと
『…もう…寝よ?』と言って布団に潜り込み、壁の方を向いた
「……」
彼女がこの場を去ろうとしなかったことに安心し
言われるまま隣に横たわる
「………ゴメンな…」
『……もう…謝らないで…』
「……」
『…明日になれば…大丈夫………でも…今だけは……顔見れない…』
「……」
『………涙が止まらないの…』
「…レイナ…」
『……………圭介………ギュッてして…』
小さく震える背中を
腕の中に包み込む
『……今日は……このまま眠っていい…?』
「………あぁ…」
回した腕に添えられた指先を握りしめ
俺は祈るように言った
「………許してくれなんて言えねぇ……でも…レイナがもう一度オレのことを受け入れてくれるなら………オレ…何でもする…」
大切にしたいと思っていたはずの彼女を
こんなにも傷付けてしまった
俺のことをなんとか許そうと苦しんでいる姿を見て
償いの為ならばどんな事でもしたい、と
本気で思った
レイナは何も答えなかったけれど
この手を握り返してくれた
そして
俺たちはそのまま目を閉じ、眠ったのだった
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