第1章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介
1階に戻ると
女は先程と同じ集合ポストの横で膝を抱えていた
「……」
圭介が近づいても
女は動かなかった
「オイ」
呼びかけて
やっと顔を上げた
色の白い
小柄な女だった
返事もしないまま
虚な瞳を向けている彼女に
圭介は言った
「家出すン時は…靴ぐれぇ履いて出ろ」
『……』
「行く所ねーならオレんとこ来いよ。隣の家だって…見つからなきゃ構わねぇだろ?」
圭介はそれだけ言うと
再び階段を上がって行く
しばらくすると
背後から軽い足音が着いて来た
「……」
家の鍵を開け
女を自室に連れて来る
「テキトーに座れ。何か飲むか?」
部屋の隅に腰を下ろした彼女は
首を横に振った
「オレ、風呂入ってくっから。好きにしててくれ」
圭介はそう言って部屋を出た
軽くシャワーを浴び
髪を拭きながら部屋へ戻ると
女は
さっきと同じ場所で膝を抱えて眠っていた
「……」
圭介は女に毛布を掛けてやると
部屋の電気を消した