第13章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②(続編)
一虎が帰った後、書き上がったFAXを送っていると
店のウインドーの向こうに人の気配を感じた
顔を上げると
ガラス越しに店内を覗いていたらしい人影が
ペコリと会釈をする
「…?…」
お客かと思った俺は
カウンターの椅子から立ち上がり、店のドアを開けた
「…何か…?」
『……ぁ………圭…介…?』
聞き覚えのあるその声に
薄暗いなか目を凝らす
「………ぇ…」
『……あの……私…』
少し戸惑ったような顔をしているその人の顔が
懐かしい記憶と重なった
「………レイナ……か…?」
『……ウン………久しぶりだね…圭介』
そう言って微笑んだ彼女を見て
俺は咄嗟に声が出せなくなった
「……」
「…ぁ……いきなり来たりして…ゴメンね…………千冬君に……圭介がここでお店やってるって聞いたの………明かりがついてたから…お仕事してる所、覗いちゃった…』
「……そっか……てか、早く声掛けろよ…………元気だったか…?」
俺の言葉に
レイナは『うん』と笑った
俺は
もう少しで閉店作業が終わるからと言って
彼女を店の中に入れた
『…お邪魔します………わぁ……スゴい…素敵なお店だね…』
「そーか?……ぁ……東京、戻って来たのか?」
『…ううん……この近くに仕事で用事があってね……帰りに駅の方に歩いてたら、居酒屋さんの前で千冬君にバッタリ会ったの…』
「……じゃあ……今も福岡に?」
『…福岡…?………そっか……あの頃…私、福岡に引っ越したんだったね。…何回か転校したから記憶がゴチャゴチャになっちゃう……今は横浜で一人暮らししてるの…仕事も横浜…』
「…………そうか…」
『………元気そうな顔見れて…良かったよ………じゃあ…そろそろ行くね…』
突然の言葉に
俺は慌てた
「…っ…待てよ……もう店閉めるから…駅まで送ってく」
パチパチと店の電気を消し
振り返った時
彼女と目が合った
『……』
「……レイナ……明日も…仕事なのか?」
『…ぁ…ううん……土日はお休み…』
「それじゃあ…もう少しいいだろ?…オレん家…すぐ近くだから……寄ってけよ…」
『……ぇ……でも…いいの?』
「…?……あたり前だろ…」
俺がそう答えると
レイナはホッとしたような顔で笑って頷いた