第13章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②(続編)
行き先は
そう簡単に会いに行けるような場所ではなく
そのせいか
引っ越した後、彼女からは一切連絡が来なかった
『大人になったら…また、会えるかな』
その言葉を聞いた時
レイナが中途半端に連絡を取り合うような関係を望んでいないのだと悟った
メールをしたり、電話で声を聞けば
側に居られない現実に向き合うことになる
無力な自分を嘆きながら毎日を送るよりも
必ずまた会えると、未来を信じて前向きに生きる潔さを選んだのが
何だかとても彼女らしくて
俺は
その想いを尊重することにした
連絡が途切れてしまうことに
何故か
不安は感じなかった
彼女にも伝えた通り
いつかきっと
2人がまた会えるような予感がしていたから
そしてレイナは
あまりにもあっけなく目の前から消えた
最後に強く抱きしめたぬくもりと感触が
いつまでもこの腕に残っていた
・
・
・
6時間目終了のチャイムが鳴ると同時に
急激に力尽きて、机に伏せた
(……だりぃ…………コレ…毎日やんのかよ…)
その時
机のすみに書かれた落書きに気付いた
" 圭介 "
いつか見たクセのある字に
俺は
すぐにレイナを思い出した
あの時とは違う
自分の方へ向けられた文字
名前の下には
言葉が続いていた
" 本当に大好きだったよ "
" バイバイ "
「……」
その文字から
目を離すことができずにいると
不意に
名前を呼ばれた
「場地さん?」
顔を上げると
同じクラスの連中はもうほとんど帰っていて
目の前には千冬が立っていた
「…HR終わってますけど……まだ帰らないんですか?」
「…………あぁ……帰る…」
千冬と並んで歩きながら
3人で下校していた頃のことを思い出す
あの
何でもないような時間に
たくさんの幸せが詰め込まれていた
そのことに今さら気が付いた俺は
遠くへ行ってしまった大切な人の
音のない笑顔を想った
(……アイツはいま……ちゃんと笑えてるんだろうか…)