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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②







10月30日

渋谷橋交差点







決戦前日だとは思えないほどに穏やかな午後

千冬に呼び出され
ひとり、ここに来ていた



歩道橋の柵にもたれ
目を閉じる


橋の下を走る車の音に混じって聞こえてくる、少し冷たくなり始めた風の音に
俺は耳をすませていた






「急に呼び出してすいません」


その声に目を開けると
花垣を連れた千冬が立っていた

顔のあちこちには
まだ痛々しい傷が残っていた




「…千冬ぅー殴られ足んねーの?」


心の中を見透かされないよう
ワザと軽い調子で言う

けれど千冬は
厳しい表情を崩さなかった




千冬は
俺が東卍の為にスパイをやっている事を既に見抜き
自分でも稀咲を調べたと言った

そして
明日の抗争が始まって、本当に東卍の敵になってしまう前に
俺に戻って来るように忠告した





確かに、千冬の言っている事は正しかった

けれど
俺の目的は稀咲を調べるだけでは果たせない
本当の狙いはその一歩先
稀咲の正体を暴き、奴に利用されている一虎の目を覚まさせることだった



偏った思い込みからマイキーを逆恨みしている一虎を正気に戻し
改めて2人で謝罪に行く
全てはそれからだと、俺は考えていた


(……だからまだ…打ち明ける訳にはいかねーんだ…)


あんな目にあわされてもなお
俺を信じ、味方でいようとしてくれている千冬の事を突き放さなければいけないのが苦しかった




" こんな俺の事など、もう見限ってくれたらいいのに "


そう考えた時
俺は
ふと、彼女のことを思い出した


いくら突き放そうとしても
俺の心に寄り添う事を決してやめようとしなかった人


千冬の想いは
かつてレイナが俺にくれた
あの、無償の愛情に似ていた




(……あぁ……オマエもそうなんだな…)







これまでに周りの人達がくれた
愛情や友情

自分は
それに値するような人間じゃない


けれど
それでも彼らが俺に対して
そんな気持ちを差し出してくれるというのなら

せめて自分が与えられる全てを使って
その想いに応えたい、と


そう
思った


だから…







" いつか、きっとみんなで笑い合える…その日のために "







俺は


大切な親友の最後の忠告にも背を向けた








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