第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
薄汚れた冷たい床の上で
俺は千冬の身体に馬乗りになって
意識が無くなるまで殴り続けた
一虎は
任命式で稀咲を殴った男を連れて来た
男の名前は " 花垣タケミチ " といった
花垣は、俺が東卍の集会で言ったことを証言するために
呼ばれたようだった
一虎の説得もあり
半間が俺の芭流覇羅入りを認めた時
花垣が言った
「ちょっと待ってください…場地君はマイキー君達と東卍を創ったメンバーなんスよね⁈なんでうらぎれるんスか⁈」
「…東卍の創設メンバーだから…東卍を裏切らない?冗談言うなよ…一虎も創設メンバーの一人だぜ?」
そして俺は
あの話をした
発端になった海へのツーリングと
事件の夜のこと
「一虎が庇ってくれたからオレは年少に入らずに済んだ…オレは一虎が出所するのを待ってたんだ…」
それを聞いた半間は
笑いながら言った
「いいね場地…そういう事ならマジで大歓迎だ」
芭流覇羅の特攻服を俺に与え
花垣の方を見る
「花垣‼︎マイキーに伝えろ‼︎1週間後の10月31日、廃車場にて…芭流覇羅 vs. 東卍、決戦だ‼︎」
花垣は
その後すぐにアジトから出て行った
「…あーぁ……カワイソー…」
「…ひでぇなコレ」
「……全然動かねーぞ……死んでんじゃね…?」
「…誰か…どっか捨てて来いよ…」
芭流覇羅の奴らが千冬の手足を乱暴に持って外へ運び出して行くのを
ボンヤリと見つめていると
一虎が近付いてきた
「場地…似合うじゃんウチの特攻服♪………アレ?…手、震えてねぇ?」
一虎に言われて、右の手を見ると
指先が細かく痙攣するように震えていた
握ったり開いたりしてもあまり感覚を感じない
「……なんか…痛めたみてぇだ…」
「…らしくねーな……ヌリぃチームにいて…身体なまっちまったんじゃねぇか?」
「……かもな…」
手の甲を見ると
赤黒い血がこびりついていた
真新しいMAー1の袖口をも染めているその血が
千冬のものなのだと改めて気付いた瞬間
俺は思わず口元を押さえた
「……ちょっと……便所行ってくるワ…」
「…おぅ…」
軽いめまいを感じながら
俺は店の一番奥にある便所まで歩いて行った
そして
汚い便器に顔を突っ込むと
胃の中のものを全部吐いた