第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
待ち合わせ場所に現れた一虎は
もうあの頃のパンチパーマではなく
襟足を伸ばした髪に
金のメッシュを入れていた
「元気だったか?…うわ!…オマエ髪ながっっ!ウザくねーの?」
「あ゛?るせーな、オレの勝手だろーが」
「…ぅわあ〜♪場地だ!」
「は⁇あたりめーだろ」
嬉しそうに抱き付いてくる一虎の笑顔は
2年前とちっとも変わっていなかった
(……おかえり…一虎……)
肩に回される腕の重みを懐かしく感じながら
俺は泣きそうな気持ちを堪えて言った
「重ってーんだよ!ベタベタくっ付くんじゃねぇ」
「いーだろ♪ひさびさに会ったのに冷てぇコト言うなよ場地〜」
繁華街を並んで歩きながら
あの頃の感覚を取り戻すように
俺達はくだらない軽口を言い合った
(……これなら……大丈夫かも知れない…)
・
・
・
出所の日が近くなってから
俺は何度かマイキーに一虎の話をしてみた
" 一虎は、マイキーを喜ばせたかった……だから、あいつは受け入れられない "
" たとえマイキーの兄貴を殺しちまっても…自分を肯定する為に、マイキーを敵にするしかなかった "
大切な家族の命を奪っておきながら
本当は言えることではなかったけど
" ただ、マイキーの喜ぶ顔が見たかった "
アイツの根っこにあったその気持ちだけは
何とか分かってやって欲しかった
マイキーはそんな俺の思いを察して
怒るようなことはしなかった
けれど
理解してくれることも
決して
なかった
俺がその話をするたび
マイキーは
「一虎の事は絶対に許せねぇ」と言っていた
(……でも………今すぐじゃなくても……もっと時間が経てば……)
俺を許してくれたように
マイキーの気持ちも
変わってくれるかも知れない
" また、みんなで笑える日がくるかも知れない "
その日が来ることが
俺の
たったひとつの願いだった
・
・
・