• テキストサイズ

裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②




『………そろそろ…行かなきゃ…』
 
「……」


手を繋いだままゆっくりと立ち上がり
向かい合う


「……ぁ…」


その時、俺はふと思い立ち
ポケットに手を入れた


ゴキの鍵に付けてある
2匹のイルカのキーホルダー

薄いピンク色の方を外して
彼女に差し出した


「………使い古しで悪ィけど……コレ…もらってくんねーか…」


レイナは両手でキーホルダーを受け取ると
抱きしめるように胸の前で握った


『……どうもありがと………大切にする…』

「…………………………元気でな…」


心の中は言いたいことであふれているのに
ありきたりの言葉しか出て来ない


『…うん……圭介もね…』

「……オゥ…」


女々しい姿は見せたくないと
こんな時にまで強がっていた


「…家の前まで…送ろうか?」

『ううん。ここでいい』


あまりにもキッパリとしたその言い方に
何も言えなくて

『…じゃあね…』と離れて行く彼女の腕を
もう一度引き寄せることもできなかった





去っていく小さな背中へ伸ばした手が
宙を切って落ちた



瞬間

レイナが後ろを振り返った




足早に戻ってきて
ためらいもなく抱き付いてくる

俺は彼女の身体に腕を回し
応えるように強く抱き締めた



胸に顔を押し付けたまま
彼女はくぐもった声で言った


『………圭介………っ…もしこの先、圭介が……違う人のこと好きになってもさ…』

「…オイ」


咎めるような俺の言葉を
レイナは震える声で遮った


『聞いて…』

「…っ…」

『……これから……何年も経って………生活がどんどん変わっていって………大人になった圭介が………私じゃない…誰かと付き合ったり……………もし……結婚、したとしても…っ…』

「……」

『……私と圭介が…同じ気持ちでいた時のこと……覚えていてね……………………………私の…こと………忘れ…ないで…』




祈るような声が

胸に突き刺さった











レイナは身体を離すと
泣き顔を見せないように走って行ってしまった




彼女の背中が見えなくなっても

俺はいつまでもその場を動けないでいた





/ 655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp