第12章 東京卍リベンジャーズ・場地圭介 ②
頼んだ飲み物が運ばれてくるまで
俺達は黙ったまま向かい合っていた
俺の前にグラスを置いた店員がテーブルの側を立ち去ってから
彼女の顔を見る
「……レイナ…」
名前を呼ぶと
気まずそうに窓の外へさまよわせていた視線を
彼女は俺の方に向けた
「……この間は…ごめんな…」
『……』
「…言い方が悪くて…傷付けちまったかも知んねーけど………オレ……本当に…オマエが心配だっただけなんだ………今日みてーに…遅い時間、この店によく居るらしいって……三ツ谷とかから…聞いて…」
『……』
「………いつもひとりで居るみたいだって…三ツ谷は言ってたんだ……でも俺…そんな訳ねーだろって思ってて………っ…でも…今日来たらオマエひとりだって言うし…グラスとかも、ホントに1個しかねーし…」
『圭介』
「…?」
『……何で……私がひとりな訳ないと思ったの…?』
「………それは…」
喉の奥がグッと詰まったような気がしたけれど
俺は構わず声を出した
「……オマエが…いま付き合ってるヤツと……ココで待ち合わせでもしてんだろーって……思って…」
長い沈黙の後
レイナは静かな声で
でもキッパリと言った
『…私、付き合ってる人なんていないよ?』
「……ぇ…」
『………1年の時…圭介と別れてから…ずっと……誰とも付き合ってなんかない………っていうか……そんな事…できないよ…』
潤んだ彼女の瞳が
俺を真っ直ぐに見た
『…………私………まだ…圭介のことが好き…』
「……」
『……どんなに想ってても…もう無駄だ、って…何度も諦めようとした………圭介のこと…苦しませないように……ちゃんと友達にならなきゃって…自分なりに一生懸命やってみたけど………でも……無理だったの。………好きな気持ちを止めるなんて……たぶん…出来ないんだよ………ゴメンね…』
「……」
『………だから…圭介の前だけでは……その気持ちを隠すことにした………友達のフリするのはちょっと大変だったけど……これで圭介の側に居られるなら…って……すごく頑張ったんだよ…』
「……」
『………でも……とうとう言っちゃったね………………圭介……" 友達になろう " って約束……守れなくて…本当にごめんなさい…』